オランダの正式名称は「オランダ王国」であり、その名の通り王様がいる国です。
イギリスにはイギリス王室御用達(ロイヤルワラント)のメーカーやブランドがあることで有名ですが、実はオランダにも「オランダ王室御用達」のお店や商品があります。
今回はスーパーでお手軽に買える日常生活からお土産にもピッタリの、オランダ王室御用達の称号が得られた食べ物をご紹介したいと思います!
オランダの王室御用達とは
オランダの王室御用達になるには、大まかに下記の定義が決められています。
・オランダの会社であること
・100年以上の歴史があること(例外もあり)
・社会貢献活動ができていること
・不祥事がないこと
ちなみに上記が当てはまらなくなった場合は王室御用達の称号は取り消されてしまいます。
今回は、1927年にオランダ王室御用達の称号を手にしているアルバートハイン(Albert Heijn)という、オランダで最大手のスーパーマーケットに売ってある商品をご紹介します!
お菓子
■ヴェルカーデ(Verkade)
1886年エリクス・ヴェルカーデ(Ericus Verkade)が、蒸気動力で作るパン&ラスク工場を北ホラント州のザーンダム(Zaandam)に設立し、低価格で安定した品質のパンを大量生産することができビジネスに成功したため、他の商品をと、1910年からクッキーの製造を始めました。第一次世界大戦前はクッキーなどは主にイギリスなどから輸入していましたが戦争がはじまると同時にイギリスからクッキーなどの輸入がしにくくなったため、ヴェルカーデのクッキーはオランダで大人気となりました。
また、1918年には第一次世界大戦の影響で小麦粉やイーストが手に入りにくくなったためチョコレートの製造を始めました。1950年にヴェルカーデはオランダ王国から「オランダ王室御用達」の称号を得られ、現在はベルギーのチョコレートブランド「ゴディバ(Godiva)」などの会社とも提携しており、今年で135周年を迎えるオランダで定番のクッキー及びチョコレートのブランドとなっています。
■スルタナ(Sultana)
1935年、先ほど述べたヴェルカーデのエリクス・ヴェルカーデ(Ericus Verkade)がインドネシア在住のオランダ人のために長旅に耐えうる食料をと作られたのがはじまりです。
ギリシャとトルコの白いサルタナブドウに、甘い茶色のレーズンが入ったフルーツビスケット菓子で、特にレーズンの水分にはビスケットが長持ちさせる役割があります。ポケットに入るサイズで気軽に食べれるため、現在もちょっと小腹が減った時のおやつとして食べる人が多いです。
■ウィルヘルミナ ペパーミント(Wilhelmina Pepermunt)
1842年ウィレム・ヘンドリック・フォルタウン(Willem Hendrik Fortuin)がフリースランド州のレマー(Lemmer)にお菓子屋さんとしてオープンしたのち、地元で人気となり、1888年にキャンディー工場を設立。1892年お菓子屋さんが50周年となる年に、ちょうどウィルヘルミナ女王が12歳の誕生日であったためウィルヘルミナ女王の横顔がデザインされたペパーミントキャンディを女王に贈りました。
1896年にオランダ王室御用達の称号を得られました。
日本の輸入食材を販売しているカルディ(KALDI)にも売ってあります。
■パイネンブルフ(Peijnenburg)
1883年北ブラバント州のヘルドロップ(Geldrop)という町のパン屋さんだったハリー・パイネンブルフ(Harry Peijneburg)はパンとクッキーの移動販売を開始しました。1915年に息子のヨハン・パイネンブルフ(Johan Peijneburg)が朝食ケーキ(Ontbijtkoek)の工場を設立。その後、世界恐慌に突入して沢山の工場が閉鎖されましたが、この会社はサプライズケーキというケーキのパッケージの中に「本が買えるクーポン」を入れた商品を販売しており子供たちを中心に大人気だったため難を逃れました。
1983年に会社が100周年を迎え、オランダ王室御用達の称号を得られました。
朝食ケーキはKLMオランダ航空で提供されたりもするオランダ人の定番ケーキですが、クローブやシナモンなどのスパイスの味がするため日本人には賛否両論のお菓子だと思います。
その他食べ物
■ベームスター(Beemster)
1900年に北ホラント州のベームスター(Beemster)の酪農家達がチーズ会社を設立しました。
元々海だったこの地域の土には塩分が多く含まれており、乳牛の肥料となる草にも塩分が含まれていたため、チーズ自体に加える塩分を控えめで作られています。
ベームスターのチーズはゴーダチーズと比べて、柔らかく、脂肪分が少ないことが特徴のチーズであり人気となり、2001年に王室御用達の称号を得られました。
■De Marne
1895年フローニンゲン州のMolenrij(モーレンライ)という村のお金持ち(大地主、村長、教師)の3人が地元の経済を成長させたいと考え、マスタード会社を設立。
品質の良さから人気となり、1926年にフローニンゲンに移転し、その後オランダ国内を始め外国にも輸出する大きな会社に成長し、ウイルヘルミナ女王が王室御用達の称号を得られました。
日本人の方もマスタードを使う人は多いと思うのでお土産にもぴったりですね!
■カニシウス・ストロープ(Canisius Stroop)
1903年リンブルフ州のNagelbeek(ナーゲルベーク)の果物農家だったJean Canisius(ジャーン・カニシウス)は、天候の影響で損傷し売れなくなった果実からシロップを大規模に製造し始めました。1キロのシロップに対して7キロのリンゴを使用したり、無添加にこだわった商品を追求しました。
また、缶のデザインの美しさから使用後も缶を使う人も多く、たちまち人気商品となり、2003年会社が100周年となる節目に、オランダ王室御用達の称号を得られました。
オランダ人はパンケーキやヨーグルト、パンにかけて食べます。
■デ・ラウター(De Ruyter)
1860年にコルネーリス・ルトゥゲールス・デ・ラウター(Cornelis Rutgerus De Ruijter)はユトレヒト州のバールン(Baarn)でパティスリーを始め、オランダのお祝いの時に食べる「マウシェ(Muisje)」を中心に作っていました。
1883年に47歳という若さでで亡くなったあとに、当時18歳だった長男のペトラス(Petrus)が会社を引き継ぐこととなりましたが、クオリティーが良かったためオランダ王室が好んで注文するようになり、同年にオランダ王室御用達の称号を得ることができました。(通常であれば100年経たないと称号を得られないので異例なケースだそうです。)
1928年に工場を設立し、ヴィルクテンハーフル(フルーツ味のパンにかけるふりかけのようなもの(vruchtenhagel))を作り始め、大衆にも販売することができるようになりました。
1938年ベアトリクス女王が生まれた時にはオレンジ色のマウシェを作り、それ以降、王室に子供が生まれた時にラスクと一緒にオレンジ色のマウシェを食べることがオランダの伝統となりました。
1955年からショコラーデヴロッケン(Chocoladevlokken)が作られるようになり、1957年からはハーフルスラッハ(パンにかけるチョコレートのふりかけのようなもの(Hagelslag))が作られるようになりました。
現在もオランダで子供が生まれたらマウシェを食べる文化は残っています。また、ハーフルスラッハはオランダ人の朝ごはんの定番となっています。
■コープスマン(Koopmans)
1846年アウケ・クラーゼス・コープマンス(Uilke Klazes Koopmans)はお父さんがしていたパン屋さんで働いていましたが、独立のために辞めることを決意。
辞めた後は風車を購入し、パンケーキ用の粉などを販売するようになりました。1876年に蒸気力の工場を購入し、会社が急成長しました。
1920年頃世界大恐慌が起こり、社会構造が変わり都会に人が集まるようになり、料理に時間がかけられない都会の人に向けた簡単に調理できる「ベーキングパウダー入の小麦粉(Zelfrijzend Bakmeel)」の販売をスタートさせました。
その後会社は急成長し、1976年にオランダ王室御用達の称号を得られました。特にオランダがパンケーキが好きな人にはお勧めの商品です。
さいごに
蒸気動力という当時最新だったテクノロジーを導入したり、世界大恐慌や第一次世界大戦など、激動の時代の移り変わるニーズに応えられた会社が王室御用達までたどり着いたんだなと考えさせられました。
お土産の定番ストロープワッフルは今のところスーパーで買えるもので王室御用達がないのが少し残念でしたが、
全てお手頃価格で買うことができます。是非オランダのスーパーでお買い物の際はにこちらの記事を参考にしていただければ幸いです。