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7月1日から、EU域外からの少額小包への免税が撤廃!

オランダを含めEUではEU域外からの小包について、中身の価格が22ユーロ以下なら少額小包へのVAT免税が適用され、小包はそのまま手元に配達されていました。ところが、中国や香港からの分包による課税逃れ品の輸出の増加に業を煮やしたEUが輸入VAT規則を改正、7月1日から少額小包への免税措置が撤廃されてしまったのです。

EUによるVAT 電子商取引規則についての注釈(日本語)

これまで、オンライン通販や日本の家族からの小包が家に届かず、通知書だけが届き、読んでみると「●ユーロの税金がかかります。●月●日までにこれこれの場所まで取りに来てください」と書いてあるという経験をされた方もいると思います。今後は、EU域外の業者から送られる全ての小包についてVATがかかるようになり、何らかの通知が届くことになります。VATだけならいいのですが、配送業者はその徴税代行手数料も取ります。これがべらぼうに高い。そこでどういう時にどういう税金がかかるのか、どうしたら避けることができるのか、調べてみました。

オランダのケースで説明していますが、EUでは、加盟国のVAT課税ルール、域外国からの輸入通関ルールは原則として共通です。EU域外の英国、スイスについても調べているところですがほぼ同様です。加盟国ごとに違うのはVAT税率と課税対象品です(関税率は共通)。オランダ以外の方はお住まいの国の税務当局のVATルールをご確認ください。

全てのオンライン通販品はVAT課税対象に

こちらがEU域外からの輸入品に対する課税についてまとめた表です。EU域内の別の国から品物を購入する場合は、販売業者がVATを消費者から徴収し、消費者が済む国に納税するよう決まっていますので、品物が手元に届くときにはVATは課されません。

EU域外からの小包みの場合、業者からの小包の場合は、これまでの22ユーロ以下の免税がなくなり一律、VAT(品目によって違う)が課税され、配送業者に手数料を請求されます。

1.VATと関税の賦課の判断は品物の価格で決まる。
2.関税がかからない場合のVAT課税額は、(品物の価格+輸送料+保険代)×VAT税率(オランダの場合、食品、医薬品、書籍は6%、その他21%)
3.輸入関税額は(品物の価格+輸送料⁺保険代)×その品物の関税率(関税率はEU共通
4.関税がかかる場合のVAT課税額は、{(品物の価格+輸送料+保険代)+輸入関税}×VAT税率
5.贈答品の関税率が2.5%より高い場合、品物の価格が700ユーロ以下であれば特別税率の2.5%を選ぶことができる。

POST NLは徴税代行手数料を引き下げ

そしてこちらが郵便局や配送業者の徴税代行手数料(inklaringskosten、2021年7月1日確認)です。POST NLは従来13ユーロだった手数料をオンライン4ユーロ、引き取りポイントでの支払い7ユーロと大幅に引き下げました。これだと少し楽になります。その他の業者は高いままです。

例えば、10ユーロ程度の物を買って、5€の輸送料がかかったとして、15ユーロ、すでに注文の際支払い済みとします。VATは15ユーロの21%なので3.20ユーロ、郵便局から通知が来たところでオンラインで払えばそれに4ユーロなので郵便局に追加で7.20ユーロ支払うことになります。

DHLとかFedexを使うと最低10数ユーロをVATとは別に取られることになります。

なお、英国はEUを離脱してしまいましたので、英国からの荷物も日本や中国からの荷物と同様の扱いになりますのでご注意ください。英国の業者の中には、Amazon.ukなど、EU域内業者同様、VATを徴収してくれる業者もいるようなので、そういうところを利用すると良いかもしれません。(これも7月1日以降、対応し続けてくれるのか気になるところです)。

家族・友人からの45ユーロ以下の贈答品は従来同様、免税のままです。日本に家族や友人がいる方はこれをフル活用するしかありません。

日本から欧州の家族や知人にギフトを送ってもらう場合は、できれば、ギフトの総額を45ユーロ以下(大体5,000円位)を目安に抑えてもらうことが大事です。また、確認のため、中を開けられてしまうことも増えると思います。もし、超えてしまいそうなものを頼むとしたら、例えば道具類などでしたら、1つの方法として、販売されていたパッケージを開封して、中身だけ送ってもらうという方法があります。中古品としての価格 (ただにはなりません)を申告書に書き込んでもらうことができます。食品などでは難しいですが。

オランダ税務当局のページはこちら

 

ABOUT ME
アラ還の駐妻。ドイツ、スウェーデン、英国在住歴あり。オランダは2020年2月から。主婦歴と欧州調査歴30年以上、個人事業主。検索魔。園芸歴40年以上。ガーデンセンター巡り。美術館巡り。ドールハウスとミニチュア家具作り。フレンチポップス(Bruelmania)、西洋骨董、西洋文化史、手工芸が好き。
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